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Question

 『運動失調』の症状に対しては、どのようなリハビリが効果的ですか?

運動失調がなぜ生じるのかはわかりました。では、どのようなリハビリをしていけば、歩く時にふらつきなどが減りますか?

Answer

◆運動失調に対するリハビリテーションについて

 運動失調症状では、手足の揺れや歩行時などにおける体幹の揺れが問題となります。リハビリのポイントなどについて

解説していきます。

(1)動作の反復訓練

​運動失調を生じる原因の一つとして小脳出血がありますが、小脳を損傷すると、手足をコントロールして円滑な動きを行うことやスムーズに歩くことなどが困難となります。動作を繰り返すことで動きを理解しつつ円滑化させることは重要です。エアロバイクや意識をしない状態での早い歩行などの反復動作訓練が動作の円滑化に繋がるという報告もあります。ただひたすら反復させるだけでなく、リズム変化や負荷変化をしながら行うことが重要です。訓練量を増やすために、自主トレーニングを行うことも重要となります。
 

(2)姿勢コントロールに対する訓練

運動失調では、バランスを保つために肩関節や股関節など体幹に近い関節を過剰に固定するという特徴が現れます。固定的になってしまった関節からは、本来入るべく感覚情報が入らず、関節や周囲の筋肉の機能が低下してしまいます。そのため、固めてしまっている関節を他動的に動かしたり感覚入力を行いながら、過剰に固定しないで姿勢をコントロールできるようになるための訓練が行われます。

 

(3)体幹トレーニング

​小脳性運動失調では、体幹の筋肉の出力が低下する様子が多くの場合観察されます。

姿勢を安定させるためにも、根幹である体幹の安定性は非常に重要となります。手足で過剰にバランスを保つのではなく、体幹でバランスを保つことができるように体幹のトレーニングを行います。この場合特に体幹の深層筋を鍛えます。深層筋とはインナーマッスル(コアマッスル)などとも呼ばれ、姿勢の保持に重要とされている筋です。インナーマッスルは主に腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜の4つを指します。これらの機能を高める訓練が行われます。

 

(4)重力を除いた状態での歩行訓練

​先ほど述べた、運動失調患者のバランス保持のための固定的な姿勢戦略は、人が重力下で生活しなければならないために過剰努力が必要となっているとも言うことができます。姿勢のコントロールが思うようにできない人に対し、無理にひたすら反復した動きを課すことは誤った動作学習に繋がりかねません免荷式トレッドミルなどで重力の影響を取り除いた状態で歩行訓練を行うことは効果を示すという報告があります。

小脳性の運動失調は脳出血や脳梗塞により生じる可能性がある症状です。バランス感覚の低下や歩行時のふらつき、さらにはめまいや眼振といった症状も見られると、日常生活において大きな問題となります。また、転倒リスクも高くなります。どの部位が損傷され、どのような症状が生じているかを見極め、適切なリハビリテーションを受けることが必要となります。

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