リスク管理と聞くと、急性期のイメージが強いですが、維持期においてもその能力は非常に求められます。
先日、とある対象者のもとへ訪問リハビリに行った際の出来事。
介入前はバイタル・身体機能・コミュニケーション能力など、いつもと大きなお変わりはなく、リハビリがスタート。
その日のリハビリも終盤に差し掛かり、「~さん。では最後にこの練習をしましょう」と声をかけたその時、口をモグモグし始め、意識はあるものの声掛けに対し全く応答しなくなりました。
これは、明らかに異常だと判断し、すぐに座らせて、様子を見ました。
口のモグモグは10秒で消失し、意識レベルの明らかな低下は見られないものの、言葉がやや滅裂になっており、一時的な見当識の低下なども見られました。バイタルも一時的に血圧上昇とSAT(動脈血酸素飽和度)の変動を認めましたが、3分程でバイタル、コミュニケーション能力、見当識は元に戻りました。
その後、運動機能や認知機能も明らかな低下が見られていない事を確認し、事務所へ報告→担当医へ報告の手続きを踏み、翌日診察の運びとなりました。
結局診察では、痙攣疑いで経過観察に。
ひとまず安心しました。
今回、急変した際にパッと頭に浮かび疑ったのは、てんかんの一つである複雑部分発作あるいはTIA(一過性脳虚血発作)でした。
維持期で働き始めて5年程経ちますが、幸い今まで介入中の急変場面に遭遇する事はなく、初めてでした。
ただ、その前に急性期で働いていた経験から、今回いつもと異なる変化が目の前で起こっても冷静に対処が出来ました。
療法士は、リハビリの専門職ですがただ患者さんの身体を動かせば良い、ただ運動をさせれば良いわけではなく、日々の小さな変化にいち早く気づき、適切な対応が出来る事も当然求められています。その為に医療的な知識は常に持っておかなければなりません。
急性期、回復期、維持期。
それぞれの病期によって優先事項が異なり、それぞれの特徴がありますが、リスク管理能力は一貫して療法士に求められる必要な知識、技術です。
療法士の中には呼吸器系、循環器系、内部疾患にあまり触れる機会がなく、苦手意識を持っている人も少なくないと思います。
まずは目の前の人の安全を守るため。
そう考えて、勉強してみましょう。
自戒も込めて
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